昨年に続いて、表記海外遠征を実施した。今回は渡米前の東日本大震災と福島原発の事故などで遠征の中止も検討したが、全員が参加の意志ありということで遠征を決行した。目的は剣道を通じて海外少年剣士との交流で友情を深めてもらい、合わせて国際感覚や米国社会の見聞を広め将来に貢献する少年の育成と、正しい剣道普及に寄与することを目的とした。参加少年剣士のメンバーは平成22年度・全日本少年剣道錬成大会(中学生団体の部優勝チーム5名)全日本少年剣道錬成大会(中学生個人優勝者)全日本選抜剣道錬成大会(中学生女子個人優勝者)日本剣道少年団研修会(最優秀者)計8名である。
3月19日午後3時、交通事情など懸念されたが全員が成田に集合。予定通り出発しロスアンゼルス空港に19日の昼到着。現地の役員の出迎えを受け、一路ホテルへ向かう。ホテルにて各ホストファミリーとの説明会後、少年剣士たちはファミリー宅に分散した。
3月20日午後6時30分 、ウエスト・ロスアンゼルス道場にて渡米初の稽古会。現地参加メンバーは50名。まず日本メンバーの紹介の後、太田忠徳団長が今回の遠征の目的と交流の受け入れに対し、謝辞を述べ稽古会に入った。
まず、〆一司監督の指揮で日本少年メンバーの基本練習を披露した。内容は切り返し、正面打ち、連続技、打込みであったが、鍛えられた少年たちの模範は現地の少年達にとって良い手本となり、指導者にとっても指導法として参考となったことと思う。最後に参加者全員で一時間の地稽古で終了した。太田団長が講評で基本の重要性を強調。強くなるには試合だけでなく、基礎を確り修練してもらいたいと述べ初日を終了した。少年剣士達はそれぞれホストファミリー宅で初めてのホームスティを経験する。
3月20日午前中は自由時間とし午後1時よりベニス道場にて親善試合及び稽古会。参加メンバー70名。まず現地役員の歓迎の挨拶を受け、太田団長が今回の少年剣士交流の目的、趣旨と謝辞を述べた。
稽古会に入る前に、日本剣道少年団研修会(体験・実践発表会)で最優秀賞を獲得した古川黎君が堂々と発表し、多くの聴衆者から盛大な拍手が贈られた。海外での文武両道の実践が今回の交流の意義ある催しものとして話題にもなった。
引き続き〆監督の指導で基本錬成に入った。まず準備体操から始まり、足捌きを伴った下半身のトレーニングは見ているだけでも、効果のあるような厳しい内容であった。その後、切り返し・打込みと基本錬成を終了し親善試合に入った。試合は8名の団体戦で3試合行った。日本の少年剣士は全国の強豪の中から勝ち上がり優勝した最強のチームであり、勝率から言うと圧勝であった。しかし内容となると現地の少年剣士は器用ではないが、力強い気迫のある剣道で見ごたえ十分であり、将来米国剣道の飛躍を感じさせるものがあった。昨年も当道場において親善試合を実施しているが、太田団長の講評によると格段の進歩であるとほめ称えた。最後に一時間の地稽古を行い終了後、道場関係者の手料理で親善交歓会。大いに親睦を深め2日目を終了した。
3月21日午前中はロスアンゼルスの名所を社会見学。米国第二番目の都市でスケールの大きさを目の当たりにし、不景気とはいえアメリカンドリームに共感する。
少年剣士はこの日、自由行動。現地若手グループと稽古する者とホストファミリーと1日を過す者とに分かれた。
役員はロングビーチ道場で現地指導者との稽古会。ロスアンゼルスの主な殆どの指導者が集まり1時間30分の稽古を実施。その後、意見交換会を兼ねた懇親会で有意義なひと時を過ごし3日目を終了した。
3月22日各ホストファミリーと共に少年剣士は、ロスアンゼルス空港に集合。
次の目的地であるシアトルを目指し出発した。3時間弱でシアトル空港に到着。現地役員とホストファミリーの出迎えを受け、早速少年剣士達はファミリー宅へ向かった。
午後6時30分、シアトル道場にて稽古会。参加者メンバー合わせて50名、歓迎の挨拶を受け、太田団長が今回の交流会の受け入れに対し謝辞を述べた。早速、〆監督の指揮で日本少年剣士達の模範基本錬成。鍛えられた日本の少年剣士の足捌きから激しい打込みに現地の少年剣士はもとより、大人達も驚いた様子。その後、全員で一通りの基本錬成を行った後、地稽古を1時間行い終了した。
太田団長が講評でシアトルの剣士は、剣道で最も大事である気勢・気迫が十分で良いことだが、反面そのことにより、肩や腕に力が入り過ぎることは、マイナス要因となるので、無駄な力を抜くようにとアドバイスした。
稽古後は中華レストランで交歓会。剣道談議に花が咲き交流を深め終了し少年剣士は ホストファミリー宅に向かった。
3月23日午前中、イチローが所属するマリナーズの本拠地であるシアトルの社会見学。豊かな緑に包まれた穏やかな町ながら、マイクロソフトやボーイング社等世界の大手企業の拠点でもあり、経済と観光、環境が整った街である。歴史や文化の違う環境ながら、剣道が自然に溶け込んでいることに意を強くする。
午後6時30分、ケント剣道クラブにて親善試合及び稽古会。この稽古会には昨日のシアトル道場のメンバーも加わり総勢60名。まず〆監督の指揮で基本錬成を実施。内容は切り返し、連続技、打込み等であった。親善試合は現地の少年剣士と2試合。これまでのように、選抜された日本の少年剣士との試合駆け引きの差は仕方のないことであるが、敢闘の精神、気力は旺盛なものがあり立派であった。最後に地稽古を1時間行い終了。太田団長が講評で試合だけを重視してはいけない。剣道は基本が大事で日本の少年剣士も最初に披露した基本稽古を確りやっている。指導者の教えをよく守り剣道を長く続けてもらいたいと述べた。シアトル最後はホストファミリーも加わりレストランで親睦を深めた交歓会で一時を過ごした。
3月24日、シアトル剣連役員とホストファミリーの見送りを受け別れを惜しみシアトル空港からサンホセ空港に飛び立つ。予定通りサンホセ空港に到着。現地役員とホストファミリーの出迎えを受け、今日は自由行動として少年剣士達はそれぞれホストファミリーと1日を過ごし米国の生活を体験する。
3月25日午前中、サンフランシスコの社会見学。大型ショッピングセンター、ゴールデンゲートブリッジ、雄大な公園等、活力あるサンフランシスコを見学した。
午後7時、マウンテン・ビュー道場にて稽古会。道場代表者の歓迎の辞を受け、太田団長が日本少年剣士の国際交流の受け入れに対し、謝辞を述べた。早速、〆監督の指揮により基本錬成に入る。内容は広い道場を立てに利用した足捌き、連続打ち、切り返しの繰り返しに、大人の剣士はついていけ無いほどであった。現地少年剣士にとっては貴重な経験であったと思う。基本錬成を十分行った後、
1時間の地稽古で心地よい汗を流し終了した。太田団長が講評で今回の交流が米国少年剣士のお役にたてれば幸いである。また、剣道と他のスポーツと違うところは生涯剣道と言われ、歳をとっても十分稽古が出来ることである。米国少年剣士にも生涯剣道を目指してほしいが、それには基本を重視した稽古を心掛けてほしいと述べた。
3月26日午後1時よりサンノゼ仏教会道場にて昨日のメンバーも加わり米国最後の親善試合及び稽古会を実施。昨日同様、〆監督の指揮で厳しい内容の基本錬成を徹底的に行ったが、全員が脱落せずやり遂げた。米国少年剣士達にとり大きな経験となり、自信に繋がったことと思う。親善試合は時間が十分あったことで3試合を行った。3試合とも日本側の圧勝であったが全力の戦いぶりに会場より大きな拍手が贈られ、お互い健闘を称え合った。最後に1時間の激しい地稽古で稽古会を終了した。太田団長が試合講評で米国少年剣士は気力・気迫は十分だが試合の中で特につば競り合いの時、気が抜けたところを良く打たれている。気を抜か無い稽古を心掛けてもらいたいと強調した。最後に今回の国際交流を快く受け入れてもらい、またホームスティでは心温まるお世話に対し謝辞を述べた。稽古後、日蓮道場にて現地役員、お母さん方の手料理でさよならパーティー。大いに交流を深め有意義な時間を過ごした。
3月27日、現地剣連役員、ホストファミリーの見送りを受け、分かれを惜しみ予定通りサンフランシスコ空港を後にした。
未曾有の大震災の中、決行した米国遠征であったが、少年剣士達は剣道を通して今回の遠征で様々な事を学び経験したものと感じる。米国少年剣士との親善試合、稽古会、交歓会。ホームスティ―での体験。3か所の社会見学と、この遠征期間に体験したことは数多く、必ずや少年達の糧となり将来に生かしてくれるものと期待している。また、米国少年剣士達との友情は大きな財産となることと思う。米国内でも飛行機で2回の移動が含まれたハードスケジュールにも関わらず、全員が無事にしかも元気に帰国できたことは、日ごろ厳しい稽古で鍛えられた少年剣道の心身の賜物であると確信する。 |