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喜多川秀成 /世界の多くの人々に剣道を・・・

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平成18年度 第29回小学生の部 優秀賞

近畿地区代表
兵庫 照道館樋ノ口少年剣道会

 「秀成!早くしなさい。」「え〜行きたくない…」「みんなもがんばってるんやから行きなさい!」「行きたくないって言ってるやろ!」「さっさとしなさい!」という母とのくりかえしの毎日…。
  「行きたくないんや!ばばあ〜!」「なにぃ〜そんな悪い言葉づかいするか!親をなめたらあかんで!」と母にひっぱたかれたり…。しかし、ぼくもじっとしているわけではなく、家中でおもいっきりあばれて、ソファーや机をたたき、泣いたり、わめいたり、大声を出して母にうったえましたが、毎日の剣道の練習と公文の勉強、ピアノの練習は休ませてもらえず、地ごくの日々が続きました。ある時は、母がぼくの体の上にのり、おさえつけられ、なぐられて、道場へ引っぱっていかれた時もありました。
  母は、泣いていました。ぼくをたたきながら、おいおい泣いていました。ぼくも泣き、母も泣いていました。それは、2年前の3年生の時の事です。東京で働く父が、その事をしり、ぼくが剣道をやめた方がよいの?、館長先生に相談に行きました。すると館長先生は、ぼくと直接話がしたいから「家にとまりにこい!」と言ってその後、ぼくの話を真剣に聞いてくださいました。「自分に負けるな!」「今の自分からにげるな!」「今、剣道をやめたら後かいするぞ!」とゆっくりといろんな事を教えてくれました。そして、「もう一度剣道をがんばっていこう!」と心に決めました。こおるような寒さの中、足のうらが冷たさではげしくいたむ冬の合宿や、暑い暑い夏の練習も必死でがんばりました。くやしい時もうれしい時もいっしょにはげましあってきた仲間がいる事にきがつきました。「この仲間たちといっしょにいたい!」「いっしょにもっとがんばっていきたい!」と強く思うようになりました。
  そうしたある時に、剣道でいつも声がかれたり、声が出なくなるので、病院に行きました。すると、小児声帯結節という大声を出しすぎると手術をしなければいけない、手術をしても、もう剣道をしてはいけない!という診断でとてもショックでした。両親ともそのことでなやみましたが、ぼくは「声がでるかぎり剣道日本一を目指してがんばりたい!」と言いました。
  昨年、剣道の大会で団体戦で2回、個人戦でも2回優勝することができました。これはぼくがやる気を失っている時にあたたかく力をあたえて下さった館長先生、奥さん、先生方と仲間のみんなのいっぱいの助けがあったからだと心から感謝しています。このおんは一生わすれません。
  今は、毎日剣道に燃えています、とても、毎日が楽しいです。7月からは母と相談して英語もならい始めました。「こんなすばらしい剣道を世界中に、もっともっともっと広めていきたい!」と思うからです。声がでなくなっても剣道をしていてぼくが学んだ「友だちの大切さ、強い心、本当の剣道の面白さ」をたくさんの人に伝えたいです。つらい事があってものりこえると楽しい事があるということを他にも苦しんでいる人達に伝えたいです。
  あの時、剣道をやめなくてよかった…。
  本当によかったです。
  母にも、かんしゃです。
  そして、本当にぼくの事を考えてたくさんのいい経験をさせて下さった館長先生、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。