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渡邉圭祐 /今まで積み上げ続けたもの

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平成21年度 第31回中学生の部 優良賞

中部地区代表
静岡県 武修館

 僕は、中学生になってから少しながら自分が変わり始めている事に気がつきました。
  今まで先生や父に言われた、竹刀の振りや相手に素早く反応する事がなかなか出来ず、また体力も他の中学生に比べると身長137cm体重30kgと低めで、試合で勝つ喜びは自分の勝ちではなくチームの勝ち、いつも補欠で応援した仲間の勝ちぐらいでの喜びでしかありませんでした。
  時には一緒に剣道を始めた弟の成果を褒め、完全に自分を諦めていました。
  6年生の時には「もう絶対自分はいくら頑張っても結果は出ないんじゃないか?」と思ったりもし  たけど「続ける事が大切。」と言う父や母の言葉を思い出し、僕には先が見えなく辛く大変な剣道だけど道場へ通い、中学生になっても剣道部に入り日々稽古を続けています。
  そんな自分に素晴らしい機会がやって来ました。
  なんと、剣道世界選手権個人優勝者の北条選手が僕達の武修館に、2日間稽古をつけてくれる事になったのです。
  北条選手は己の信念と目標を持ち、僕達に一本を取るための技や普段、心掛けている事などを教えてくれ、相手全体を見る事や生活態度を正しくするなど、その事についてさらにくわしく教えてくれました。 この前NHKのTVでスポーツにおける反射、反応を特集した番組では、野球やサッカーを抜いて 剣道が一番優れている事がわかりました。そしてその代表として高鍋選手が紹介されていました。
  その高鍋選手のコーチをしていたのが北条選手でその人が僕達の前で見せてくれた面打ち、0.009秒の反応速度の世界には、思わず度肝を抜かされました。
  僕は自分の竹刀の柄から汗が出るくらい強く強く握りしめて、固まってしまいました。
  稽古中には失敗するとどこが悪いか具体的に注意してくれ、どのようにしたら一本取れるか教えてもらい、今まで気合いの出し方や動き、足さばきなどで楽をしていたいと、思っている事を、北条選手に見抜かれ、自分に厳しくしなければと心底分からせてもらいました。
  最後に地稽古をつけてもらい、今の自分を再確認する事が出来ました。
  今、僕は技量も中学生ほどではないし、相手から見れば「取るに足らない奴だ」と見られていると思いますが、自分に厳しくする事を心掛けて最近は剣道部の練習試合でも時々勝てるようになり、まだ叶わないと思っていた中体連へと出場し、2回戦で負けましたが、1回戦目で勝った時は素晴らしい達成感と例えようのない喜びで気持ちが良かったです。
  そして今までの様々な経験が少しずつですが成果を表わし始めてきたと思います。
  これらの今まで積み上げ続けたものを糧として僕は僕のペースで、コツコツと剣道を続けていきたいです。
  周囲から見たら、少しずつに見えるかもしれないけど、僕にとって自分を大きく進化させてくれ続ける剣道とこれからもしっかりと向かい合って中学生らしい自立をしていきます。